ニュースを読んで適当にシナリオを書き散らかすブログ

ニュースにザッと目を通して、20分くらいでガッと書き飛ばします。

衝撃流出! 国民的老女優 ハメ◯り写真!

○写真週刊誌の表紙
大きな見出しに「衝撃流出 林◯子 80歳の性 孫ほど離れた男たちとのSEXフォト」の文字。

○パソコンモニター
掲示板サイトに投稿されている林光子(81歳)のプライベート・ヌード写真の数々。
誹謗中傷のコメントが並ぶ。

○ニュース番組
キャスターと解説者が話をしている。
キャスター「今回の流出事件、クラウドサービスを提供しているオレンジ社の広報から「セキュリティ上の欠陥ではなく、パスワードを盗まれたため」とアナウンスされています。これは、どういうことでしょう?」
解説者「林さんは日本を代表する女優ですから、生年月日や出身地などのプロフィールも公開されていますよね、また様々な取材を受けて、愛犬の名前などのプライベートな情報も語られています。犯人は、そういった情報を片っ端から入力して、パスワードを暴いたんだと推測されます」

○林邸/外観(昼)
閑静な住宅地にある邸宅。

○同/リビング(昼)
テーブルを挟んで、刑事1、刑事2と光子が座っている。
光子の前に刑事の名刺が置かれている。
刑事1「てっきり、マスコミが殺到しているかと思ったら…」
光子「私みたいなお婆ちゃんのスキャンダルなんて、誰も興味なんてないのよ」
刑事2「そんなことはありませんよ…、いやネットの世界では、今も騒動が…」
光子が微笑む。
光子「冗談よ。マスコミの方は規制をしていただいたの」
刑事1「規制、できるものなんですね」
光子「これだけ長く芸能界で生きてるとね、いろんな方面に顔が利くのよ」
刑事1「そうですか…」
光子「その代わり、しなくてもいい苦労だってしてきたんだから、色々とね。少しくらいは、無理を聞いてもらっても、ね」
刑事2「マスコミには、ご自身で対応できるとしても、事件に関してはですね」
刑事1「警察としても万全の捜査体制で挑みます、刑事事件として届け出をしていただけないでしょうか?」
光子が首を振る。
光子「無理ね」
刑事2「今後、同様の犯罪を抑止するために、捜査をして、きちんと犯人を捕まえたいんです、そこは一つ、ご協力いただけないでしょうか?」
刑事1、2が頭を下げる。
光子「だめよ」
刑事1、2が頭を上げる。
光子「捕まりっこないもの」
刑事1「万全の捜査体制を敷きますから」
光子「いいの、この話は、もう」
刑事2「しかし…」
光子「捜査をしても無駄よ、わかりっこないんだから」
刑事1、2の表情が固まる。
光子「ごめんね、戻って怒られちゃうかもしれないけど、お婆ちゃんの最後のわがまま、聞いてちょうだい」
光子がチャーミングに微笑む。

○農村(昼)
農村をベンツが走っている。

○大道家/外観(昼)
畑の中に建つ一軒家。
玄関前にベンツが止まっている。
車の外で運転手が(疲れた体を癒すように)ストレッチをしている。

○同/玄関(昼)
玄関のドアが少し開き、大道源造(85歳)が顔を出す。
玄関の外には光子が立っている。
源造がドアを開け、光子を招き入れる。

○同/居間(昼)
居間の片隅にはパソコンが置かれ、本棚には理系の本が並んでいる。
源造と光子がテーブルを挟んで座っている。
源造「元気そうだ」
光子「そりゃ、元気よ、若い子のエキスを吸ってるもの」
源造「ふふ」
光子「知ってるでしょ」
源造が微笑んでいる。
光子「なんであんなことしたの?」
源造「よく気づいたな」
光子「そりゃ、そうよ、生年月日、知ってるの、あなたしかいないでしょ」
源造「パスワード、簡単すぎる」
光子「そう?本当の生年月日を知ってる人、もうあなたしか残ってないじゃない。まさか、そこから流出するなんて」
源造が光子を見る。
源造「スターになるっていうのは大変だな」
光子「もう馴れたわ、林光子に生まれ変わって60年たつもの」
源造「林光子の人生…か」
光子「あなたの妻であることを捨てて、私が選んだ道」
源造「他人の戸籍を買ったのが、いつかバレるんじゃないかと思って心配してた」
光子「余計な心配…戸籍を消して、別人になりすましたダメな女なんて、ろくな死に方しないわよ」
源造「そうか」
源造が苦笑いする。
光子「でも、なんで、こんなことしたの?パライバシーを覗いて暴くようなマネを」
源造「もう、この年だ、人生を整理したくなって」
光子「それと私の写真をバラまくのは関係ないでしょ?」
源造「お前が、何をやっているのか気になって調べていくうちに、つい…」
光子「つい、どうしたの?」
源造「もう一度、気づいてくれるかと…」
光子「あなたを?」
光子が鼻で笑う。
光子「バカね」
源造「そうだよ」
光子「一緒にいた時から変わってないわ、朝から晩まで研究ばっかり、数字に夢中でも、人の気持ちは理解できない」
源造「悪かったな」
光子「ふ、まぁ仕方ないわね、好きで結婚した私も悪いのよ」
源造「でも、最後に会えて良かったよ」
光子「最後?」
源造「体の具合が良くなくてね」
光子が家を見回す。
光子「一人?」
源造「ああ」
光子「家族は?
源造「別れてからは、ずっと一人だよ」
光子「…そうなの」
光子の顔から笑顔が消える。
源造「これも自分で選んだ人生だ、そんな顔しなくていい」
光子「そう」
光子が立ち上がる。
光子「会えて良かったかもしれない、私も」
源造「ありがとう、もう、あの頃のことなんて忘れてるかと思ってたけど」
光子「忘れるもんですか」
光子と源造が玄関に向かって歩き出す。
光子「データの中は全部、見たの?」
源造「一つ、パスワードの分からないファイルがあったな」
光子「バカね、あれが開けられないなんて」
源造「どうして?」
光子「私とあなたしか知らないはずよ」
源造「えっ…」
源造が嬉しそうな顔になる。
光子が玄関で靴を履く。
源造「忘れてなかったんだ」
光子「嫌だ、信じてなかったの?」
光子が玄関ドアに手をかけてドアを開ける。
光子「忘れたことなんて、一日たりともありませんよ」