ニュースを読んで適当にシナリオを書き散らかすブログ

ニュースにザッと目を通して、20分くらいでガッと書き飛ばします。

<ボイスドラマ>世界霊性革命(邂逅-8)

○駅の改札口
小さな駅の改札。
電車が発車するベルの音。
米原「じゃぁな、おっさん」
浦辺「せめて連絡先だけでも、お礼を」
米原「いいよ、行けよ」
浦辺「でも」
米原「乗り遅れるぞ」
浦辺「ありがとうございました」
米原「ちゃんと孫に手を合わせろよ」
浦辺「はい」
電車のドアが閉まり、電車が発車する。
米原の後ろから遠山が話しかける。
遠山「余韻に浸ってるところ悪いけど」
浦辺が振り向く。
浦辺「ん?」
遠山「話、いいかな」
浦辺「何の捜査?おまわりさん」
ひかり「心配しないでください」
遠山「職質じゃない」
浦辺「おかしいなぁ、そんな気がしたんけど」
遠山「そうか」
浦辺「なんの用?」
ひかり「僕らも、あなたと同じです」
浦辺「なに、同じって?」
遠山「見えるんだよ」
浦辺「見える?」
ひかり「力をコントロールする方法は知ってますか?」
浦辺「力?」
遠山「不思議な力、持ってんだろ」
浦辺「ふざけてんの?」
ひかり「あなたの気持ちはわかります、心を開いて下さい」
浦辺「なに言ってんの」
遠山「見えないものが見えたりさ、モノが動いたり、あと、なんだっけ?ま、とにかく、そういう力を持ってんだろ」
ひかり「どういう力を持っていますか?」
浦辺「おたくらキチガイ?」
遠山がひかりの肩を叩く。
遠山「ほら、なんか分かりやすいやつ」
ひかり「え?」
遠山「見せてやれよ」
ひかりが深く息をし始める。
遠山「じっとしてろよ」
ひかりが深呼吸をする。
浦辺が首筋や背中を掻き始める。
浦辺「んん」
遠山「サワサワっとしたろ」
浦辺「なにしてんだよ、これ」
遠山「次、頭」
浦辺が頭を掻く。
浦辺「んん?」
遠山「今のが、こいつの力、ピーケーとかいう、念力だ」
ひかり「すみません」
浦辺「ふぅん」
遠山「わかった?」
浦辺「あんたは何?あんたの力は?」
遠山「俺は見えないものが見える、遠くの場所で起きてることとか」
浦辺「やってみせろよ」
遠山「やってもいいけど時間かかるぜ、ホントかどうかの確認もメンドくさいし」
浦辺が鼻で笑う。
ひかり「で、あなたは?」
浦辺「バクチの神様」
遠山「当たりが見えるの?」
ひかり「予知能力?」
浦辺「能力って。そんな、たいしたもんじゃねぇよ」
ひかり「でも、あなたから強い力を感じてます」
遠山「他には何が見える」
浦辺「集中する気力があれば、なんでも見える」
遠山「バクチ以外の使い道は?」
浦辺「全部俺のため、遊びに使ってる」
遠山「世のため、人のためとかさ、そんな気はねぇの?」
浦辺「バクチの神様は、俺をフラフラ生かしてくれるために、微笑んでくれるんだ」
ひかり「いいえ、神様は、あなたに期待しているんです」
浦辺「なに言ってんの?」
ひかり「本人に自覚がないまま、それだけの力を持てば、普通は心を病んでしまいます」
浦辺「ふぅん」
ひかり「力に溺れて、進むべき道を誤ってしまいます」
浦辺「俺、充分、人生を誤ってるでしょ」
ひかり「この人は元刑事です」
浦辺「やっぱり」
ひかり「あなたのように自覚のない能力者でした。でも、力を捜査のために、世の中のために、正しく使っていた、だから壊れなかった」
遠山「俺は、そんなつもりじゃなかったけど」
ひかり「あなたも人のために力を使って来ましたよね?」
浦辺「ギャンブル以外に使ったことねぇよ」
ひかり「バランスとか、寄付とかさ」
遠山「ホントはボランティアやってたりして」
浦辺「してねぇよ、やりたいことにしか使ってねぇよ」
遠山「自分勝手な奴は力なくなるらしいぜ」
ひかり「欲にまみれた能力者の力は弱くなっていきます」
遠山「でも、そっちから強い力、感じんだよなぁ」
ひかり「なんだよ?」
遠山「根はイイ奴?」
浦辺「話、終わった?時間の無駄、じゃぁな」
ひかり「正しいと感じることに力を使って下さい」
浦辺「どうも」
遠山「賭けないか?」
浦辺が足を止める。
浦辺「何を?」
遠山「俺たちが、また会えるのか」
浦辺「勝ったら、何もらえんの?」
遠山「何が欲しい?」
浦辺「ん~、あぁ、ま、特に欲しいもんはねぇな」
遠山「面白くねぇな」
浦辺「人生は暇つぶし」
遠山「お前が勝ったら、面白い暇のつぶし方、教えてやるよ」
浦辺「そっちが勝ったら?」
遠山「一緒に暇つぶそうぜ」
浦辺「つまんねぇな」
遠山「ノる?」
浦辺「ノラねぇよ、そんなの(苦笑い)」
浦辺が歩き出す。
浦辺「ほんじゃ」
遠山「またな」
浦辺「ああ」
浦辺の足音が遠ざかる。
ひかり「彼、大丈夫ですかね」
遠山「大丈夫だろ」
ひかり「間違った方向に転ばなければ…」
遠山「今度会ったら、国本のチームにいたりしてな」
ひかり「冗談じゃなくて、本当に心配してるんです」
遠山「いちいち気にすんな、考え過ぎは良くないぜ」
ひかり「すみません」
遠山「なんだかんだで、うまくいくようになってんだよ」
ひかり「そうでしょうか」
遠山「そう、そういうもん。あ、ついでに、その言葉使いもやめろ」
ひかり「なにか気に障るような?」
遠山「堅苦しい、息が詰まる」
ひかり「でも、僕には、これが普通の話し方で…」
遠山「じゃ、その僕ってのやめろ、いちいち気になる、女言葉で話せよ」
ひかり「いえ、あの、それが一番難しいんじゃないかと…」
遠山「せめてタメ口」
ひかり「はい、なるべく早く対応できるよう頑張ります」

遠山「はぁ…、無理だな」

(続く)