ニュースを読んで適当にシナリオを書き散らかすブログ

ニュースにザッと目を通して、20分くらいでガッと書き飛ばします。

餓鬼帝国

○街中(昼)
標識から中国であることが分かる。
制服男性(警官)と一般男性が揉めている手元。
制服男性の手が一般男性の左手首を掴む。
一般代性の右手首は「待ってくれ」の動きをして、財布を取り出す。
制服男性が財布を手に取り、紙幣を抜き取る。
制服男性は一般男性の手を離し、去っていく。

○役所/受付窓口(昼)
標識から中国であることが分かる。
受付をする依頼者と職員の手元。
依頼者が書類を差し出す。
書類の一番下には紙幣。
職員は紙幣を左手で隠すようにポケットに入れ、右手で書類を仕分け箱に入れる。

○空港(昼)
搭乗者の行列。
チョウ・ミフン(23歳)が行列の半ば辺りに並んでいる。
空港の警備兵が家族(父・母・子供)を連れてくる。
行列の先頭に並んでいる男に「後ろに下がれ」と合図する。
先頭の男が不服そうな表情。
警備兵が銃口を少し前に向ける。
先頭の男が後ろに下がる。
家族たちは平然とした表情で一番前に並ぶ。
後ろに並んでいるチョウたちが、その様子を見ている。

○居酒屋/店内(夜)
居酒屋の隅のテーブル。
鹿島ティナ(28歳)とチョウ(29歳)、新山美保(28歳)が話をしている。
ティナ「リスト持ち出してくれるだけでいいんやから」
美保「あんたマジで言ってんの?」
ティナ「頼むわ、その後は、うちとチョウのやることやん、あんたは関係ないんやし」
チョウがうなずく。
美保「ティナ、ずっとこんなことし続けてきたんか?」
ティナ「ちょっと怒らんといてぇや、聞いただけやないの?」
美保「幼なじみとして忠告しくとけど、捕まる前にやめときや」
ティナ「なんやのん、リスト使って小遣い稼ぐくらい、誰でもやってるよ」
美保「保険番号の載った患者のリストって・・・、ウチのこと、どんだけ舐めてんの?」
ティナ「やってるよ、どこの病院だって、(チョウに)なぁ」
チョウがうなずく。
美保が立ち上がる。
美保「気分悪い、帰らせてもらうわ」
美保がテーブルに金を置いて立ち去る。
ティナがチョウに「ダメだ」という手振りをする。

○住宅街/路上(昼)
ティナとチョウが歩いている。
ティナ「ごめんな、ややこしい奴に相談してもうて」
チョウ「しゃあないよ」
ティナ「とにかく謝るだけ謝って、警察にチクるのだけは勘弁してもらわな」
チョウ「それだけは止めるよう説得してな」
ティナ「警察チクられたら、あんた大変やろ」
チョウ「あぁ、ほんまに頼むわ」
ティナ「任せとき」

○マンション/玄関ドア前(昼)
中からドアが開く。
美保が顔を出す。
美保は不機嫌そうな表情。
ティナ「美保、この前は、ほんまごめんな、2人で謝りに来てん」
チョウが頭を下げる。
ティナ「ウチら反省しとるし、きちんと説明させて欲しいんや」
美保が無言のまま見ている。
美保が振り向き、部屋の奥に向かう。
ティナとチョウが奥に入っていく。
画面フェイドアウト(黒画面)。

○黒画面
ティナとチョウの息づかい。
ティナ「やってもうたな」
チョウ「やってもうた」
ティナ「どないしよ」
チョウ「金になるモン捜そ、逃げる準備せな」
ティナ「どんなんがええの?」
チョウ「保険証、免許証、パスポート、キャッシュカード」

○路上(夜)
ティナとチョウが歩いている。
ティナ「ほんまに?」
チョウ「ウチらのグループにかかれば、パスポートなんか簡単やで」
ティナ「助かるわ・・・そうや美保の名義で作って」
チョウ「美保?」
ティナ「あの子の名義で作って海外にいけば、死体が見つかってもゴマかせるやろ」
チョウ「そうやな、そうしよう」
ティナ「中国には、どれくらいおればええんやろ」
チョウ「4、5年もおれば充分やないの?」
ティナ「4、5年か・・・。ほんまに大丈夫なんやろな、向こうに行っても」
チョウ「大丈夫や、金があれば、なんだってできる国やし、警察からも逃げきれる」
ティナ「金は?」
チョウ「あるよ」
ティナ「あんた、ほんま、日本でどんだけ稼いだん?」
チョウ「稼げるだけ、稼がせてもらったわ」
チョウが微笑む。