ニュースを読んで適当にシナリオを書き散らかすブログ

ニュースにザッと目を通して、20分くらいでガッと書き飛ばします。

ブン屋の魂

○会議室/室内(昼)
高木頼満(54歳)、西田洋三(55歳)、近藤勝重(54歳)がテーブルを挟んで談笑している。
高木「ネットのおかげで本当に難しくなってきたよ」
西田「読めないんだよね、ニーズが、何を求めてるか」
近藤「あぁ、でもネットなんてダメだって、産経の牛山が言ってたよ、買ってまで読まないんだって」
高木「あんまり部数伸びてないの?」
近藤「少しは影響あるみたいだけど」
西田「だったら、いいじゃない。うちなんて落ちっぱなしなんだから」
高木「やりましょか?」
西田「やるしかないでしょ」
近藤「ああ」
西田「記事は?」
高木は笑いながら揉み手をする。
高木「久々に俺が書いちゃうよ!」
近藤「アイデアがあるんだけど、こう、なんていうのかなぁ、謝ってるような、謝ってないような、そういう絶妙な文章にして欲しいんだよね」
西田「いいねぇ、右から攻撃されるような感じで」
近藤「そう!話題になるだろ、その方が」
高木「だったら産経に声かけて、うちの記事を攻撃するように仕組んでよ」
近藤「面白い、乗った!最初は小出し、小出しで、ちょっとずつ盛り上げてよ」
西田「プロレスだ、プロレス」
三人が笑う。
高木「現場は?」
西田「俺が抑えるから、心配すんなって」
近藤「どれでいくの?」
高木「国民のニーズを伝えるのが新聞・・・だろ?」
近藤「言われたなぁ、昔。戦時中の新聞を持ち出されてな、戦争翼賛の記事を読まされて」
西田「国民が望む情報を伝えるのが新聞だ、国民が戦争を望めば、そう書くのが新聞」
高木「じゃ、今回も、それ?」
西田「いや、今の記者なら、だったら自分でビラ紙でも刷ってバラまけ、の方が効果あるだろ」
高木「新聞は企業だ、お前のためにあるんじゃない、部数を伸ばすのが使命だ」
近藤「自分の考えを伝えたいなら、一人で新聞を作って配ってろ」
西田「そう、そっち、そっち」
近藤「説得、頼むよ」
高木「昔ほど骨のあるブン屋もいなくなったし、現場からの反発は、そこまで心配しなくても大丈夫でしょ」
近藤「よし、決まった、やるぞ!」

 

○新聞紙面
紙面の片隅に「お詫び/従軍慰安婦記事の誤報に関して」の見出しの小さな記事が出ている。