ニュースを読んで適当にシナリオを書き散らかすブログ

ニュースにザッと目を通して、20分くらいでガッと書き飛ばします。

上を向いて歩こう

○旅客機/機内(夜)
満席の客室。
乗客たちは落ちつきなくザワついている。
機体が大きく揺れる。
女性客の悲鳴が聞こえる。
男性客Aが客室乗務員に怒鳴っている。
男性客A「さっきから、これ、どうなってんだ!」
客室乗務員「ご心配をおかけして、本当に申し訳ございません」
客室乗務員が男性客に頭を下げようとするが、機体が揺れ、足下がふらつく。
子供の泣き声が響く。
初老の男性客Bが、席から体を乗り出し、後ろを振り向く。
後部席には坂本九(43歳)が座っている。
坂本は不安げに様子を見ている。
男性客Bが坂本に話しかける。
男性客B「ねぇ、九ちゃん」
坂本が話しかけられたことに気づく。
男性客B「九ちゃん、歌ってよ」
坂本「え?」
男性客B「みんなに歌を聴かせてよ」
男性客Bが機内を見渡す。
ザワつく機内。
坂本が機内を見渡し、男性客Bを見る。
男性客B「九ちゃんしかいないよ」
坂本がうなづいて微笑む。
坂本はシートベルトを外して、立ち上がり、通路に出る。
坂本「さぁ、みなさん!」
坂本の大声に客席の皆が注目する。
坂本は満面の笑顔を浮かべている。
坂本「どうも、坂本九です。飛行機揺れちゃって、怖いですねぇ〜」
坂本が近くの子供の頭を撫でる。
坂本「でも大丈夫!さ、元気を出して!」
機体が大きく揺れ、坂本がよろめく。
坂本「おっとっと、こりゃ、この飛行機、伊丹に着いたら、お仕置きだな」
坂本が笑う。
客室乗務員が坂本に近づいて来る。
客室乗務員「お客様、危険ですから、座席に」
坂本「まぁ、いいじゃないですか、ここは任せて」
客室乗務員が会釈をして近くで見守る。
坂本「僕は歌手ですから、歌を歌うことしかできません。でもね、歌っていうのはいいもんですよ、大きな声で歌ってると不安とか怒りなんていうのも消えちゃいますから」
坂本が客席を見回す。
坂本「みなさん、僕と一緒に歌いましょう!」
坂本が「上を向いて歩こう」を歌い始める。
坂本はメロディを歌う前に、歌詞内容を伝える歌い方で、合唱を誘う。
乗客たちが徐々に歌い始める。
坂本「さぁ、みなさん、もっと元気良く!」
坂本が通路を歩きながら、合唱を促す。
坂本が泣いている子供に笑顔で歌いかける。
子供は泣きやみ、少しずつ歌い出す。
客室乗務員も一緒に歌っている。

○機体/外観(夜)
真っ暗な空を飛行する旅客機の機体。
乗客たちが歌う「上を向いて歩こう」の歌声。

○テレビ画面
バラエティ番組の画面にニュース速報のテロップ。
テロップ「450名以上の乗客を乗せた羽田発・大阪行の日航123便が消息不明」