ニュースを読んで適当にシナリオを書き散らかすブログ

ニュースにザッと目を通して、20分くらいでガッと書き飛ばします。

美味し陰謀・フクシマ

東京地方裁判所/遠景(昼)

官庁ビル街を映す遠景。

テロップ「東京地方裁判所

カメラは裁判所にズームインする。

 

○同/法廷(昼)

満席の傍聴席。

検事(男性・40歳)が山岡(男性・38歳)に話しかけている。

検事「お分かりですか、山岡さん、あなたの発言が、これだけの人たちの心を踏みにじったんですよ!」

検事が証人席を指差す。

証人席には怒りや憤りの表情を浮かべる30代女性、50代男性など数名が座っている。

山岡「いや、まぁ、いくら怒られてもなぁ…、だって、俺たち、漫画ですよ、創り物、創作ですよ」

証人席の女性A(30代)が立ち上がる。

女性「だからこそ、勝手な想像で、私達の福島を踏みにじるような真似をして欲しくないんですよ!あそこで子育てをしている母親たちが、どういう気持ちで、あなたの漫画を・・・」

山岡「ちょっと、待って、冷静になって下さい」

山岡が「困ったね」というポーズをする。

山岡「はい(壁を指差す)、はい(別面の壁を指差す)、はい(別面の壁を指差す)」

指を指した順に壁が順に倒れる。

カメラがズームアウトすると、ここがスタジオ内のセットだったことが分かる。

山岡「創作物っていう意味、お分かりですか?」

女性A「創作物なら、なにをしても許されるっていうんですか!」

山岡「表現は自由でしょう?」

女性A「受取る側が信じてしまうような表現は真実を伝えるべきです!」

怪獣の雄叫びが聞こえる。

山岡以外の人々が周囲を見回す。

 

○官庁ビル街(昼)

怪獣がビルを壊して暴れている。

 

東京地方裁判所/法廷内(昼)

法廷内は「逃げろ」、「助けてくれ」と大騒ぎ。

山岡が大慌ての女性Aの腕を掴む。

女性A「何するんですか!」

山岡「こっちに来てみなって」

 

山岡が女性Aを法廷セットの隣に作られたミニチュアセットに連れてくる。

ミニチュアセットでは怪獣の着ぐるみが官庁ビル街のミニチュアを壊している。

山岡「怪獣映画を本気で恐がるなんてバカらしいだろ?」

 

法廷のセットの方から声がする。

検事「意義あり!」

山岡が法廷セットに戻ってくる。

山岡「なにが不満なの?」

検事「風評被害に夜住民生活へのダメージ、それを自らのビジネスに利用した被告人の行為が裁判の争点です。表現を自由を論じるものではありません」

山岡「どう証明するの?」

 

検事が法廷のセットから歩き出す。

検事「これは1ヶ月前の編集部の様子です」

隣にコミック雑誌の編集部のセットが組まれている。

 

編集者が原稿を手にして座っている。

ドアが開き、編集長が入って来る。

編集者「どうでしたか?」

編集長「広告局、「やってもいい」って、許可もらってきたぞ!」

編集者「本当ですか!」

編集長「ああ、去年、東電がうちに出した広告は全部で1000万円位だそうだ。だったら、この原稿載せて、話題になった方がいいだろ?」

編集者「ありがとうございます!」

編集長「これで既刊に全部増刷がかかりゃ、そっちの方が美味しんぼだ」

編集者「100巻が、少なくとも各3000部の増刷」

編集長「よっしゃ!」

 

山岡が法廷のセットから光景を見ている。

法廷のセットに編集長が歩いて来る。

編集長が顔のマスクを剥がすと、検事の顔に変わる(検事の変装だった)。

検事「表現の自由ですか、これは?」

山岡が目線が俯きがちになるが、すぐに顔を上げる。

山岡「でも、それは作者である私の意向じゃない。周囲が勝手に意図したことだ」

検事「では、これはどうですかね?」

 

検事が法廷セットの外へ歩き始める。

法廷セットの隣に応接間のセットが作られている。

応接間には初老の男性と中年の男性が並んで座っている。

中年男性が初老男性に話しかける。

中年男性「いいですか、キーワードは?」

初老男性「鼻血、歯茎の血、抜け毛、倦怠感、下痢、視力低下、湿疹」

中年男性「はい、大丈夫です」

初老男性「集団訴訟の話は出さない方がいいんだろ?」

中年男性「ええ、いいように話題になって、東電側から示談の話が来るまで待ちましょう。そこで、集団訴訟の話をぶつけて、示談の金と天秤にかけるんです」

ドアがノックされる。

ドアの向こうから女性秘書の声。

女性秘書「東京から山岡さんという方が取材にお見えです」

初老男性「はい、通して」

ドアが開き、山岡が入って来る。

中年男性が山岡に初老男性を紹介する。

中年男性「山岡さん、こちらが三葉町の元町長の杉原さん」

山岡「漫画の原作者をしております、山岡です、お忙しいところ、すみません、取材のお時間をいただいて」

 

法廷セットから(本物の)山岡が応接間のセットを見ている。

法廷セットに(応接間から)山岡が戻って来る。

応接間から戻ってきた山岡が顔のマスクを取ると、検事の顔になる(変装していた)。

検事「山岡さん、あなたには悪意がなかったかもしれないけどねぇ」

山岡「そんなこと言ったら、証人席にいるのは、皆、東電から金もらって座ってるゲス共だろう!」

検事「神聖な法廷で言葉を慎みたまえ!」

法廷に裁判長の「ゴン!ゴン!」という木槌の音が響く。

法廷中の視線が裁判長に集まる。

裁判長「バカとゲス、判決、ここいいる者は全員バカとゲス!」