ニュースを読んで適当にシナリオを書き散らかすブログ

ニュースにザッと目を通して、20分くらいでガッと書き飛ばします。

サンタクロース・大人のプレゼント

○住宅街・遠景(深夜)

海岸線沿いに街灯の灯り。

 

○住宅街の夜景(深夜)

遠くから波の音が聞こえる。

住宅街の上空には綺麗な星空が広がる。

静かな夜空を小さな光が走る。

 

○A家・庭(深夜)

荷物を載せたソリとトナカイたちが停まっている。

 

○同・子供部屋(深夜)

ベッドでは子供が眠っている。

部屋に真ん中に置かれたクリスマスツリーの前にサンタクロースが立っている。

サンタクロースがツリーに吊された靴下から願い事の書かれた紙を取り出し目を通す。

紙に書かれているのは「金塊3トン」という願い事。

険しい表情のサンタクロースが子供の方を見る。

子供が健やかに眠っている。

サンタクロースの表情も穏やかになり、担いでいた白袋の中から金色の豚グッズを3つ靴下に入れる。

 

○B家・玄関前(深夜)

トナカイが停まっている。

 

○同・リビング(深夜)

サンタクロースがリビングに置かれたクリスマスツリーの前で険しい表情をしている。

手にしている紙に「土地所有権」と書かれている。

サンタクロースが、靴下の中に別の紙があることに気づき、取り出す。

紙には「みんながサンタはいないっていうけど、ほんとうにいるよね。サンタさんだいすき」という手紙。

サンタクロースの表情が穏やかになり、靴下に栃山というメーカーの醤油瓶を入れる。

 

○C家・居間(深夜)

サンタクロースが靴下に「アイドルおっかけマニュアル」という古本を入れている。

 

○D家・リビング(深夜)

サンタクロースの足下に「ゲームBOX」という紙が落ちている。

サンタクロースが「ゲームBOX」という大きな箱の玩具を赤ちゃん用の靴下の中に必死にいれようと悪戦苦闘している。

 

○E家・子供部屋(深夜)

サンタクロースが小さな玩具を靴下に入れようとしているが靴下に穴が空いているため入らない。

 

○D家・リビング(深夜)

サンタクロースが嫌がるトナカイをリビングに引きずり込もうとしている。サンタクロースが、プレゼントを入れてこいとトナカイにジェスチャーで指示をするがトナカイは拒否をする。

クリスマスツリーに吊された靴下は明らかに汚れている。

サンタクロースは鼻を押さえて靴下に近づくが、吐きそうな表情になる。

 

○住宅街・道路(深夜)

寝静まった街。

サンタクロースが大声で叫ぶ。

サンタクロース「おい、出てこい!いい加減にしろよ、お前ら!」

ポツリ、ポツリと各住宅の部屋の灯りが点く。

 

○公民館・外観(深夜)

 

○公民館・会議室(深夜)

パジャマ、スエットの上にコートやダウンジャケットを羽織った大人の住民たちが集まり、椅子に座っている。

サンタクロースが住民たちの前方に立っている。

サンタクロース「子供の仕業じゃねぇだろ!お前ら大人が俺をおもちゃにしてるんだろ、おい!」

住民A(男性)「さすが、うまいねぇ、おもちゃにするっていうのが、子供に配るおもちゃとかかってるんだよね。(金色の豚を周りの人に見せて)ほら、これ金塊3トン」

住民B(女性)「土地の所有権(栃山醤油を見せる」

住民C「国家権力」

住民たちが住民Cの持ってきた「おっかけマニュアル」という本に集まる。

住民たちが「サンタ、スゴい」、「このハシ渡るべからず、だよ」、「屏風の虎退治も」などと誉めている。

サンタクロース「こっちは、とんちを売りにしてるんじゃねぇっつーの!」

サンタクロースが懐から紙を取り出し、住民Hに怒鳴る。

サンタクロース「これ書かせたの、オメェだろ?」

紙には子供の字で「サンタの首」と書かれている。

住民Hが苦笑いする。

サンタクロース「他にも織姫だの彦星だの書いてたトコあったけど、こっちだって好きでやってんじゃねぇぞ」

住民たちがザワザワする。

サンタクロース「いや、好きさ、好きだよ、子供たちの笑顔を見るのは。でも、俺で遊ぶなってーの!」

住民たちの中から女性の住民Iの泣き声がする。

サンタクロースの表情が曇る。

サンタクロース「いや、そんな、気をつけて欲しいって話、怒ってるワケじゃないから。来年は。また来るし」

泣いていた女性の隣の男性住民Jがサンタクロースに話しかける。

住民J「彼女、うれし泣きだよ」

町内会長・立花信次(43歳)が皆の前に出てきてサンタクロースと握手をする。

サンタクロースが怪訝な表情をする。

立花「この町は、私たちが子供の頃、津波に襲われたんです。津波が来る前は、親父のことなんてガミガミうるさいだけの大人だと思ってた」

泣いていた住民Iが前に出てくる。

住民I「甘えられて、怒ってくれて、なんだかお父さんみたいで、つい」

住民Iが泣きながらサンタクロースに抱きつく。

住民たちがサンタクロースに拍手を送る。

もらい泣きをしている住民の顔。

立花「サンタクロースは大人の私たちにも素敵なプレゼントを運んでくれるんですね」

サンタクロース「いや、あの・・・」

住民たちがサンタクロースに向かって「メリークリスマス」の声をあげる。

 

○住宅街の夜景(深夜)

星空。

住民たちの「メリークリスマス」の声が響いている。

遠くから波の音が聞こえる。