ニュースを読んで適当にシナリオを書き散らかすブログ

ニュースにザッと目を通して、20分くらいでガッと書き飛ばします。

<ボイスドラマ>世界霊性革命(曳航-3)

○郊外の町・公園

郊外の町にある児童公園。

町村がベンチに座っている。

飲み物を手にした米原が町村の方へ歩いてくる。

米原「水でいいんだろ」

町村「ああ」

米原「ほら」

米原が水を町村に渡す。

町村「ありがとう」

米原「聞かせてもらおうか、天才科学者さん」

町村「なにをだ」

米原「そうだなぁ、じゃぁ」

米原がコーラのキャップを空ける。

米原「何を研究してんの?」

町村「理解できない」

米原「こう見えて、そこそこの学歴だぜ」

町村「実力じゃない」

米原「わかる?」

町村「答えが見える」

米原「そ、答えだけ分かるから、入試はなんとかなったんだけど、入った後つまんなくて中退した」

町村「ふふ」

米原「笑ってんじゃねぇの、教えてくれよ、何を研究してんだよ」

町村「物理学、量子に関する研究をしていた」

米原「量子?なにソレ、マグロの?」

町村「この世の仕組みを知るための科学だ、物理学」

米原「なに、それ?それで何がわかんの?」

町村「何がって?」

米原「俺たちの力のことを調べてたんだろ」

町村「ああ」

米原「分かったのかよ、この力が何なのか」

町村「ああ、分かったよ」

米原「説明してくれ、俺にもわかるように」

町村「今は分からない、それが分かった」

米原「はぁ?」

町村「だから、今の自分を受け止めるしかない」

米原「説教が聞きたいんじゃない、わかりやすい答えが聞きたいんだよ」

町村「それは君次第だ」

米原「なんだって?」

町村「君の世界を作るのは君の意識だ、量子理論ではそう定義される」

米原「それが天才が出した結論?」

町村「君が答えだと思えば、それが君の答えなんだ」

米原「そんな子供に説教するみたいなことはいいから、科学者らしい答えが聞きたいっての」

町村「もう話した、私の世界では、それが答えだ」

米原「全然わかんねぇよ」

町村「この世界の仕組みを科学的に分析した」

米原「だから、その結果は教えてくれって」

町村「世界のありとあらゆるもの、今までの科学では関連性がないと思われていたことですら、全ては一つなんだ」

米原「わかんねぇっつの、ホントに」

町村「君の名前は?」

米原「俺?米原だけど」

町村「今、私の世界には米原君が存在している」

米原「ああ」

町村「もし、君が話しかけても来ず、名前も名乗らない限り、私の世界には米原君は存在しない」

米原「そんなことないだろ、知らなくたって存在してるよ」

町村「人それぞれの意識が一つの世界だとしよう。もし、私が君のことを知らなければ、私の世界に君は存在はしない、そうじゃないのか」

米原「あぁ、まぁ、そうだけど」

町村「宇宙の果ては?物質の最小単位は?時間とは何か?それが不思議に思うから、疑問が生まれる、疑問が生まれるから、答えを求める。そもそも不思議に気づかなければ、答えも誤りも生まれない」

米原「そう言われりゃ、そうかもね」

町村「つまり世界の規則は、この世界を観察する者の意識が作っている」

米原「いや、でも、あんたに会う前から俺はいたぜ」

町村「君を含めて、君を知る人たちの世界では君は存在していた」

米原「いや、あんたの世界にだっていたはずだから」

町村「それを確かめるための理論を研究していた」

米原「確かめるもなにも、いたよ」

町村「今の科学では説明できない」

米原「まてよ、まて、あんたの言ってること、どっかに穴がある、考えてやる」

町村「過去へ行けると思うか?」

米原「なに、ヒント?」

町村「過去に行けなければ、過去を認識できない」

米原「そうだよ、そう、だったら過去は存在しないってことだな」

町村「存在しない世界の中に私たちは生まれてくるのか、ありえない話だと思わないか」

米原「そうだよ、ありえないよ。だから意識しなくても世界は存在してるんだよ」

町村「違う、発想を変えるんだ」

米原「は?」

町村「過去から未来まで永遠に存在する一つの意識がある」

米原「どういうこと?」

町村「我々は、その意識の一部だとしたら」

米原「我々?」

町村「そう、私の意識も、君の意識も、同じ意識の一部にしか過ぎない」

米原「でも、別々の人間じゃねぇか」

町村「肉体は別かもしれない、だが宿っている意識は違う」

米原「なんだかバカにされてるみたいだな」

町村「意識の秘密を解き明かすには、まだ我々の心の準備が足りない」

米原「どうもインチキくせぇ話だな」

町村「でも、君なら、今の説明でイメージできたはずだ」

米原「ん?」

町村「なぜ、君がギャンブルに勝てるのか」

米原が「チッ」と舌打ちをする。

町村「なぜ、未来が見えるのか」

(続く)