ニュースを読んで適当にシナリオを書き散らかすブログ

ニュースにザッと目を通して、20分くらいでガッと書き飛ばします。

<ボイスドラマ>世界霊性革命(曳航-2)

○病院内

病棟の廊下、信者たちのすすり泣く声がしている。

幹部信者たちが信者たちに声をかける。

幹部男性1「心配する必要はない、教祖様が意識を取り戻せば、全てが解決される」

幹部男性2「これは我々に与えてくれた試練です、復活のための儀式です」

高橋が歩いてくる。

信者たちに応対しているみことの母に声をかける。

高橋「お忙しいところ、すみません、一般信者の高橋といいます」

母「どうされました」

高橋「あの、田畑さんですよね?」

母「はい、そうですが」

高橋「教祖の具合、いかがですか」

母「心配はありません、大丈夫です」

高橋「そんな時間はないのかもしれませんが、娘さん、みことさん、連絡はとれてますか?」

母「みことと?どうしました?」

高橋「昨日から連絡はありました?」

母「病院に泊まると伝えてますが、現れませんでしたね」

高橋「連絡はついてるんですね?」

母「いえ、留守電にメッセージを残してはいますが」

高橋「それじゃ直接連絡を取ったということは」

母「ええ、留守電だけです」

高橋「家の方へ立ち寄ったりとか?」

母「昨日の集会から、ずっと病院です」

高橋「みことさん、家に帰っていませんよ」

母「なぜ、それが?」

みことの父(幹部信者の一人)が通りかかる。

母「あなた、みことが家にいないって」

父「なんだって?」

母「この方がみことがいないって」

父「どうして、それを知ってる?」

高橋「待ってましたから、ご自宅の前で」

父「なぜ、そんなことをしてるんだ?みこととどういう関係だ」

高橋「集会で、よく話しをしてました。昨日の集会の時、彼女、凄く動揺してて、ちょっと気になったもんですから」

父「気持ちはありがたく受け取っておくが、余計なお世話はよしてくれ」

母「みことをご存知ならおわかりじゃないですか」

高橋「え?」

父「変わった子だったでしょ」

高橋「は、はぁ」

母「友達のところで泊まってるとか、そういうことじゃないですかね」

高橋「昨日の感じだと、そうは思えないんですけど」

父「とにかく、今は教団のことが最優先です。教祖が復活されるまでの間、教団は私たち上級信者が運営しなくてはいけないんです」

高橋「どこか心当たりはありませんか、探して来ますよ」

母「必要ありません、彼女のことは私たちが一番分かってます」

高橋「もう少し心配してあげた方が、中学生ですよ、まだ」

父「私たち家族は神に仕えた身です、みことも、今、何をすべきか理解してくれているはずです」

高橋「そんな」

高橋が深い溜息を吐く。

 

○オフィス街

通りを歩く植地の携帯が鳴る。

植地が携帯を取る(携帯の相手は国本)。

植地「はい」

国本「今、大丈夫」

植地「ええ、大丈夫です」

国本「勤務中か?」

植地「登庁しているところです、どうしました?」

国本「トラブル発生」

植地「どういう?」

国本「昨日、いのちのみちに送り込んだスタッフから連絡があった」

植地「ええ」

国本「辞めたよ」

植地「辞めた?」

国本「退職だ」

植地「今日?」

国本「いや、昨日の夜、電話で。そのまま戻らないと」

植地「何があったんですか。じゃ、残りは何名ですか」

国本「ゼロだ」

植地「え?」

国本「全員、辞めてしまった」

植地「何があったんですか、それって?」

国本「私は間違えているんそうだ」

植地「それが退職の理由?」

国本「ああ、私は間違えている、これ以上、自分たちはついてきいけない」

植地「なんだって、そんなことを」

国本「それを受けて心配なのが、明後日の張り込みの件。君のサポートに彼らをつかせる予定だったんだが」

植地「私なら大丈夫です」

国本「君までを失いたくない」

植地「そんな…、私は国本さんのことを信じてますから」

国本「張り込みに私も同行する。ヒカリも、私には手荒いマネはしないだろう」

植地「いや、それは嫌です、私だけで行かせて下さい」

国本「どうして?君もヒカリの力を知ってるだろ」

植地「嫌なんです。国本さんとあの人と顔を合わせることがあれば、また」

国本「君のプライドを傷つけたくはないが、忠告しておく必要がある。残念だが、今はヒカリの力の方が君よりも遥かに上だ」

植地「確かに、私の力不足かもしれません…、でも、あの人と会ってもらいたくありませんんです」

国本「私はヒカリに会いに行くんじゃない、ただ君のことが心配なんだよ」

植地「なにか別の手はありませんか…」

国本「…ないわけじゃないんだふぁ」

植地「なんですか、それは、私が動きます」

国本「強力なピーケーの持ち主が一人いる」

植地「その人に連れて来ればいいですね」

国本「だが」

植地「だが?」

国本「連絡先は分からない」

植地「どうして?」

国本「一緒に能力を開発していたんだが、心のバランスを崩してね、姿を消した」

植地「心当たりは、実家とか、病院とか」

国本「無駄だ、全て探したよ」

植地「何か情報があれば、私のリーディングで」

国本「ホームレスをしている彼を見た者がいる」

植地「そこに行けば?」

国本「しらみつぶしに探したよ、しかし、その町にはいなかった、全国を転々としてるんだろう」

植地「何か、彼が使っていたモノは残っていますか?」

国本「ああ」

植地「用意しておいてもらえますか、この後、取りに行きます」

国本「どうするつもりだ?」

植地「今日は特別休暇をとって、その人を探しにいきます」

国本「大丈夫なのか?」

植地「張り込みまでには見つけますから」

国本「他の業務に支障がでるんじゃないのか?」

植地「構いません、そちらの方が大切ですから」

(続く)