ニュースを読んで適当にシナリオを書き散らかすブログ

ニュースにザッと目を通して、20分くらいでガッと書き飛ばします。

<ボイスドラマ>世界霊性革命(放逐-8)

○神社・境内

郊外、小さな神社の静かな境内。

米原と神主が話をしている。

神主「お気持ちはありがたいのですが、このような」

米原「いいじゃん、受け取ってよ」

神主「氏子でない方から、いきなり、これだけの額をいただくわけには」

米原「賽銭箱に入れてもいいけど、入んないからさ」

神主「いえ、あの」

米原「金なんて、ありゃあったで困りゃしないって、ヤバイ金じゃないから安心して、はい」

米原が神主に100万円の束を渡して手を離す。

神主「本当に…」

米原「いいって、いい雰囲気の神社だから、気に入ったんだよ。良く手入れされてる、神主さんの清い心を応援するつもりで、はい、受け取って」

神主「そう仰っていただけるのは、ありがたいんですけれども」

米原「こういう場所は、これからも必要だから、たしにしてよ、神主さんの」

神主「あの、あとでお礼をしたいので、せめてご住所を」

米原「俺、この町にプラッと立ち寄っただけだから、そんなのいらない」

神主「本当に、大丈夫ですか」

米原「いいの、そのかわり、この神社、守ってよ」

神主「ありがとうございます」

米原「地元の人に、もっと愛されるといいね、この神社」

神主「あの、もし良ければ、きちんと、ご参拝いかがですか、お祓いしますよ」

米原「神様から一番、嫌われそうな奴だから、また、いつか」

神主「あの、では、お守りを持っていって下さい、せめて、それくらいのお礼は

。待ってて下さい」

神主が社務所に小走りする。

鳥居の向こうから参拝客が歩いてくる。

米原「ん?」

参拝客が米原の前を通り過ぎて行く。

米原「おい」

参拝客は米原を気に留めずに参道を進む。

米原の方に戻ってくる神主が参拝客に気づいて声をかける。

神主「町村君?久しぶりだね」

町村「どうも」

神主「元気だった、帰って来てるの?」

町村「はい」

神主「正月には昭一も戻ってきてるから、また顔出してよ」

町村「はい」

神主「今、お客さん来てるから」

町村「はい」

神主が米原の方に歩いてくる。

神主「お待たせしました、ウチのお守りです」

本殿の方から賽銭を投げ、鈴を鳴らし、柏手を打つ音が聞こえ、米原は、その様子を見ている。

米原「あぁ、どうも」

神主「お守りにもお祓いをして、ご神体の念を込めています」

町村が参道を歩いて帰って行く。

神主「ぜひ厄よけに使ってください」

米原「あの」

神主「はい?」

米原「今、お参りしてる人、何者?」

神主「町村君?」

米原「その人」

神主「倅の同級生でしてね、小学校の。ノーベル賞も夢じゃない天才科学者です」

米原「へぇ」

神主「しばらくは見かけなくて、倅も心配してたんですけど、元気そうですね」

米原「天才?」

神主「そうなんです、実際に勉強もとてつもなく出来るらしいんだけど、何が凄いっていうと、ヤマ感」

米原「ヤマ感?」

神主「テストに、ここが出るっていうアドバイスが百発百中、恥ずかしい話、ウチの倅が高校に受かったのも、町村君が問題を教えてくれたからだっていう」

米原「なるほど」

神主「うちのもバカだから大学入試の時も、町村君に教えてもらうから、勉強しなくてもいいやなんて」

米原「それじゃ」

米原が走って去る。

神主「あぁ、どうも、ありがとうございました」

(続く)