ニュースを読んで適当にシナリオを書き散らかすブログ

ニュースにザッと目を通して、20分くらいでガッと書き飛ばします。

<ボイスドラマ>世界霊性革命(放逐-6)

○警察署・オフィス内
騒がしいオフィス。
藤田と植地が隅のテーブルに向かい合って座っている。
藤田「こんなところで、すみません、本庁から来ていただいたのに。会議室が詰まってまして」
植地「いえ、無理に伺いたいしたのは、私の方ですから」
藤田「え~っと、メモは」
藤田が資料の束を探る。
藤田「ちょっと待って下さいね、探しますんで」
植地「こちらこそ、忙しいところを、すみません」
藤田「今晩、賭博のガサ入れる予定でして、その資料と混ざってしまって、んーと、依頼された件は…、あ、あった。船橋の…この住所の辺りに潜伏してるという」
植地「これが住所ですか?」
藤田「ええ、そう言ってました。千葉には照合お願いしてるんですけど、まだ我々も確認できてません」
植地「この情報、確かだと思います?」
藤田「大丈夫です、信頼できる情報屋からのネタですから」
植地「どうして千葉の情報を?」
藤田「今回は、別の調査をしていた時に、偶然、見つけたと言ってましたね」
植地「今回?」
藤田「この間の橋の下に追いつめた時と同じ情報屋です」
植地「すごいわね、その人」
藤田「本当に凄い奴なんですよ」
植地「何してた方?」
藤田「実は、元同僚でして」
植地「県警の?」
藤田「ええ。刑事の勘っていうんですか、ウソみたいに鋭い勘を持ってましてね」
植地「勘?」
藤田「私達みたいな、足で稼ぐ古いタイプの刑事じゃないんですよ」
植地「どんな?」
藤田「資料をずっと睨んでいると、答えが頭に浮かぶって言って、コンビを組んでた頃は…」
植地「待って下さい」
藤田「はい?」
植地「頭に浮かぶっていうのは?」
藤田「なにか、こう、見えてくるって」
植地「なにがですか?」
藤田「本人も何故だかわからないって言ってましたが、逃亡者の潜伏場所とか、犯人の手口なんかを、ズバズバ当てるんですよ」
植地「それ本当ですか?」
藤田「ええ、現場じゃゴッドハンドなんて呼ばれてて、捜査に行き詰った刑事は奴に相談に行くっていう」
植地「その人に会えないかしら」
藤田「さっきの場所、船橋、張り込む時に立ち会いたいと」
植地「来てもらえる?」
藤田「そのつもりだって言ってましたよ」
植地「その前に連絡先、教えてもらえます?」
藤田「いや、今は連絡とれない所に張り込んでるらしくて、都合がつけば私宛に電話してくる予定です」
植地「いつ頃ですか?」
藤田「どうですかね、とにかく植地さんの張り込みの日程が決まったところで、連絡いただけますか」
植地「わかりました。調整がついたところで、藤田さんに連絡します」
藤田「ええ、お待ちしています」
 
○カジノ・支配人室(室内)
部屋の向こうでチップをやりとりする音。
支配人とチーフ・ディーラーがモニターを見ながら話をしている。
ディーラー「支配人、止めさせましょう、間違いないです、アイツです」
支配人「あれが死神?でも、つい最近、歌舞伎町に出たばかりだって」
ディーラー「でも、あれだけ当てまくれるのは、奴です、カジノの死神です、ヤバイです」
支配人「イカサマは?試してみたのか?」
ディーラー「もちろん」
支配人「ダメか?」
ディーラー「イカサマ込みで当ててきます、ありえません」
支配人「クソ、狙われたか。今、どれだけ持ってかれてる?」
ディーラー「もう4000万位は」
支配人「ちっ」
ディーラー「早く手を打たないと」
支配人「今日は5000しか用意できねぇよ」
無言が続く。
支配人「あれ…、おい、モニター見てみろ」
ディーラー「ん、降りた?自分から」
支配人「よし」
ディーラー「さっさと金払って、帰ってもらいましょう」
支配人「助かった。むしろ客が、あいつを見て浮ついてる、カモれるぞ」
ディーラー「取り返せって指示を出しておきます」
支配人「今日のノルマは死神に取られた額の倍だって言っとけ」
(続く)