ニュースを読んで適当にシナリオを書き散らかすブログ

ニュースにザッと目を通して、20分くらいでガッと書き飛ばします。

<ボイスドラマ>世界霊性革命(邂逅-3)

○新宿・裏カジノ
カジノがざわついている。
客1「みろよ、あの金」
客2「最初は5万からだって」
客1「次、勝てば、どれくらい?億?」
ディーラー「ベット?」
米原「ベット」
ディーラーがルーレットに玉を転がす。
ざわつきが止まり、注目が集まる。
玉の音。
客たち「お、おお、おーっ」
玉が止まる。
客たちが口々に「すごい!」「やった!」などの声。
ディーラー「ユー・ウィン」
米原「どうも」
客たちの歓声の中、支配人が米原の元にやってくる。
支配人「お客様、私、支配人をしております、高野と申します」
米原「ちょうど良かった、もう降りるから、金用意してもらえる?」
支配人「VIPルームで、お話を」
 
◯公園(夜)
遠くで雑踏の音が聞こえる公園。
米原が立ち止まる。
米原「おっさん、こじきのおっさん」
ホームレスが背を向けて寝ている。
米原が公園の遊戯施設をカンカン叩きながら話しかける。
米原「起きろよ、ルンペン、ホームレス」
浦辺「ん、んぅ」
米原「あんたに言ってんだよ」
浦辺「あぁあ」
米原「起きな」
浦辺「ん~」
米原「おっさん、ビール飲むか、ほら缶ビールあるぜ」
浦辺「いらん」
米原「おい、こっち向けよ」
浦辺「うるさい」
米原「なんか旨いもん奢ってやるよ」
浦辺「あっち行け」
米原「あっち行けって、公共の場に居座ってるのは、そっちだろ」
浦辺が米原の方へ体を向けて起き上がる。
浦辺「うぉ」
米原「んなことでビビるかよ」
浦辺「なんだ」
米原「くせぇな」
浦辺「なんだ」
米原「あんた、何年、こんな生活してんの?」
浦辺「うるさい」
米原「いくつ」
浦辺「知らん」
米原「金やるから、さっぱりする気はないか?」
浦辺「いらん」
米原がポケットから札束を一束取り出す。
米原「この一束で100万。やるよコレ、風呂に入って、新しい服買って、うまいメシも食わしてやる」
浦辺「なんだ」
米原「なんだって?」
浦辺「どうして金をくれる?」
米原「バクチに勝ったんだよ。あぶく銭はバカバカしく使わないとな」
浦辺「100万?バクチで」
米原「ああバカ勝ちだ、100万くらいなら捨ててもいい」
浦辺「いくら勝った?」
米原「1億」
浦辺「1億」
米原「だったが、手持ちの金がないって、6000万に値切られた」
浦辺「4000万も」
米原「いいんだよ、別に、金なんて」
浦辺「金持ちか?」
米原「そんなことは、どうでもいいだろ。とにかく、俺と遊ぼうぜ」
浦辺「んん」
米原「着替え買ってきてやる、あそこの水道で体洗っとけ、その後、サウナに連れてってやる。あ、その前に頭、丸刈りな」
 
○焼肉店・店内
焼肉を焼く音。
浦辺がガツガツ食事をしている。
米原「おっさん、あんまり急に食うと、胃が驚くぜ」
浦辺がガツガツ食べ続ける。
米原「何年ぶりだ?まともな食事は」
浦辺がムセて、胸を叩く。
米原「ほら、言わんこっちゃない。水、水」
浦辺が水をゴクゴク飲む。
米原「いつからルンペンやってんの?」
浦辺がゲップをする。
浦辺「…10年前」
米原「いま、いくつ?」
浦辺「…67」
米原「家はどうした?家族は?」
浦辺が再び食べ始める。
米原「食べながらでいいから、答えろよ」
浦辺が食べ続ける。
米原「60手前で乞食になるって、何があった?」
浦辺「…特に」
米原「家族は?嫁さんは」
浦辺「…いない」
米原「親は?いるんだろ」
浦辺が食べる。
米原「生きてるのか?」
浦辺「わからん」
米原「家はどこだ」
米原が食べる。
米原「どこだよ、おっさん」
浦辺「北の方」
米原「北ってどこだよ」
浦辺が食べる。
米原「どこだよ、言えよ」
浦辺が食べる。
米原「おい」
浦辺が食べる。
米原「帰ってみようぜ」
浦辺「いやだ」
米原「なら100万は無しだ」
浦辺「かまわん」
米原「家までじゃなくていい、地元まで案内してくれよ」
浦辺「できるか、そんなこと」
米原「暇だからさ、いいだろ」
浦辺「俺の故郷は関係ない、他のところに行け」
米原「まともなメシはうまいだろ、100万あれば、しばらく食えるんだぜ」
浦辺「いらん」
米原「地方なら、1年分の家賃にはなる」
浦辺「いらん」
米原「いいから、おっさん、連れてけよ」
 
○タクシー(車内)
走行中のタクシーが止まる。
運転手「お客さん、■■駅の駅前って、この辺りですかね、起きてます?お客さん?」
寝ていた米原が目を覚ます。
米原「ふぁ~、あ、着きました?」
運転手「ここですか?」
米原「おっさん、起きろ、この辺りか?」
米原が寝ている浦辺をゆらして起こす。
浦辺「ふぅ〜」
米原「ここかよ、地元って」
浦辺「あ、うん」
米原がポケットから金を出す。
米原「釣りはいいから、とっといて」
運転手「これ、全然多いですよ」
米原「いいよ、帰りのガソリン代。悪かったね、こんなド田舎まで」
運転手「ほんとにいいんですか?」
米原「高速で事故んないように」
運転手「じゃ、ありがとうございます」
ドアが開き、米原と浦辺が外に出る。
米原が辺りを見回す。
米原「こんなとこ住んでんの、おふくろさん?」
浦辺「ん」
米原「駅前の店がシャッター閉めてるし、街として終わってる」
間が空く。
米原「なぁ、腹減ってない?」
浦辺「いや」
米原「俺が減ってるよ。この辺りにメシ屋って、あそこしかないの?」
浦辺「んん」
米原「うまいの?あの店」
浦辺「ん、んぅ」
米原「はっきりしろよ、おっさん」
(続く)