ニュースを読んで適当にシナリオを書き散らかすブログ

ニュースにザッと目を通して、20分くらいでガッと書き飛ばします。

<ボイスドラマ>世界霊性革命(邂逅-1)

朝、沸騰を知らせるケトルの音「ピー」。

あわてて火を消す、ドタバタする音。

遠山「ん、ん~?」

ひかり「ごめんなさい、起こしちゃいました?」

遠山が万年床から、ゆっくり起き上がる。

遠山「なんだよ」

ひかり「遠山さんが起きたら、コーヒー飲んでもらおうと思って」

遠山「コーヒー?」

ひかり「冷蔵庫は、缶ビールしか入ってませんし、お茶葉もなくて。でもインスタントコーヒーがあったので」

遠山「俺は目覚めのビールだよ」

ひかり「体に良くないですよ」

遠山「いいから、ビール、取って」

ひかり「コーヒーにしましょう」

遠山「いらねぇよ」

ひかり「そうですか

遠山「あ、待て、コーヒー飲めばいいんだな」

ひかり「そうですか」

遠山「念力使うんじゃねぇぞ」

ひかり「使いませんよ、いいんですか、コーヒーで」

遠山「歯向かうと痛い目あいそうだもんな」

ひかりがコーヒーカップを遠山に手渡す。

ひかり「熱いですよ」

遠山「ってかさ、寝る前、言ったよな」

ひかり「はぃ」

遠山「朝起きたら、警察に連れてくって」

ひかり「はい」

遠山「俺が起きる前に姿消してるだろ、普通」

ひかり「でも」

遠山「なんで、逃げねぇんだよ」

ひかり「すみません」

遠山「気使ってやったのに」

ひかり「ありがとうございます」

遠山「警察にマークされてんだぞ」

ひかり「でも、あの」

遠山「待て、悪かった、言い過ぎた」

ひかり「そんな」

遠山「念力は出すなよ、お嬢ちゃん」

ひかり「一緒にいちゃダメですか」

遠山「え、ダメですかって

ひかり「掃除もしますし、食事も作ります」

遠山「まいったね」

沈黙。

ひかり「あの、昨日から、ずっと感じてるんですけど」

遠山「んん」

ひかり「遠山さんなら、僕のことを」

遠山「それ以上は言うな、聞きたくない」

ひかり「遠山さんも感じてるんですよね」

遠山「やめろ」

沈黙。

遠山「あ〜あ、そういうこと?」

ひかり「遠山さんは、僕のことを」

遠山「助けてくれるって?」

ひかり「はい」

沈黙。

遠山「お前の資料を見て感じた胸騒ぎって、これか」

ひかり「そうだと思います」

遠山「神様も変な仕掛けをするもんだね」

沈黙。

ひかり「一緒に逃げてもらえますか?」

沈黙。

遠山「嫌だね」

ひかり「そんな」

遠山「逃げるのは、嫌だ?」

ひかり「でも、それじゃ」

遠山「向こうに一泡吹かせてやる」

ひかり「それは僕が嫌です」

遠山「どうして」

ひかり「能力者同士が傷つけ合う、そんなことはしたくありません」

遠山「傷つけるんじゃない、正しい力の使い方を教えてやるんだ」

ひかり「ん~ん、まぁ、それだったら」

遠山「お互い潰し合いすると思った?」

ひかり「ええ」

遠山「女はケンカのやり方、知らねぇな」

ひかり「なら、どうすれば」

遠山「直接、アタマを叩くんだよ」

ひかり「国本さんですか?」

遠山「面白いだろ、その方が」

ひかり「でも、そんなこと」

遠山「勘違いすんなよ、痛い目に合わせるんじゃない」

ひかり「は、はい」

遠山「少年ジャンプのマンガじゃないんだからさ」

ひかり「じゃ、どうすれば」

遠山「暴走止めさしゃいいんだろ、心を入れ替えてもらうんだ、国本とかいう奴に」

ひかり「そんなこと」

遠山「やれるよ。できると思えば」

沈黙。

ひかり「は、はい」

遠山「ワクワクしてきた。俺も、訓練すれば、もっと力が強くなんの?」

ひかり「方法はありますけど、あの、その、僕は」

遠山「ん?」

ひかり「ここにいても、いいんですか?」

遠山「いないと始まんないだろ」

ひかり「はい」

(続く)