ニュースを読んで適当にシナリオを書き散らかすブログ

ニュースにザッと目を通して、20分くらいでガッと書き飛ばします。

<ボイスドラマ>世界霊性革命(愛子-1)

○大学・教授室

ドアをノックする音。

橋爪「はい、どうぞ」

ドアが開く。

竹之内「どうも竹之内と申します」

竹之内と一緒に警護スタッフが入ってくる。

竹之内「お時間をいただきありがとうございます、橋爪教授」

橋爪「モノモノしいですね」

竹之内「お伝えしていた通り、規則がございまして、最初に、警護の者が点検をさせていただきます」

橋爪「わかりました。汚い研究室ですみませんね、片付けはしたんですが」

竹之内「お気遣いありがとうございます」

警護たちが教授室内を点検を始める。

橋爪「送っていただいた、パーティションはこちらに」

竹之内「ついたてですね」

橋爪「ええ、壁に立てかけています」

竹之内「(警護に)すみません、あのついたてを、教授の椅子の前へ、お互いが見えないように移動お願いします」

警護たち「はい」

警護がパーティションを橋爪教授の椅子の前に移動させる。

橋爪「厳重なセキュリティですね」

竹之内「ご面倒をおかけして、申し訳ございません」

橋爪「初めてですよ、こんな風に相手の顔が見えないカウンセリングを行うのは」

竹之内「秘匿せざるを得ない事情がございまして」

橋爪「いえ、気にしないで下さい、めったにない経験ですから」

竹之内「あと教授、重ね重ねの、お願いで申し訳ございませんが」

橋爪「はい」

竹之内「こちらに、お座りになる方の素性を探るような質問はなさらないようお願い申し上げます」

橋爪「大丈夫です、希望はお守りします」

竹之内「もし素性がお分かりになったとしても、決して口外なさらないこと、固くお願いいたします」

橋爪「心理学を修める者として守るべきモラルはわきまえているつもりです」

警護「点検完了しました、問題ありません」

竹之内「カウンセリング中、警護の者たちは退席いたします。ついたてのこちら側には私と、もう、おひと方、あとは、ついたてを挟んで教授、あわせて3名のみとなります」

橋爪「わかりました」

竹之内「準備整いましたので、ご案内お願いします」

警護「了解しました」

警護がドアの向こうに出ていく。

愛子がドアをノックしながら入って来る。

愛子「失礼します」

竹之内「こちらに、おかけください」

竹之内と愛子は、橋爪とついたてのこちらと向こうで会話を始める。

橋爪「こんにちは、準備はいいかな」

愛子「はい、こんにちは」

橋爪「女の子なんだね」

愛子「なんとお呼びすれば良いですか?」

橋爪「おじさんかい?橋爪といいます、ここで先生をしています」

愛子「橋爪先生ですね、わたしは」

竹之内「あっ、ううーん(咳払い)」

橋爪「大丈夫、名前はいいんだよ。君に話かけるから、それに答えてくれれば」

愛子「はい、わかりました」

橋爪「じゃ、まず、絵を見ながら話をしようか」

愛子「この、お机の上に置かれている絵でしょうか?」

橋爪「そう、裏返して置かれてる紙があるよね、それを上から順にめくってもらえるかな」

愛子「はい」

橋爪「では、まず一番上の絵から」

愛子「はい」

橋爪「まず、そこに書かれている模様は何に見えるかな」

愛子「うーん」

橋爪「あんまり考えずに、何かに似ているとか、思いついたことでいいんだよ」

愛子「えーと」

橋爪「心の中に浮かんだことを」

愛子「ネクタイの模様?」

橋爪「え、ネクタイ?」

愛子「今、橋爪先生がお召しになっているネクタイと良く似ている模様だと思います」

橋爪「んぅ?」

橋爪が自分のネクタイを手にして見る。

橋爪「ごめんね、ちょっと待っててね、竹之内さんと話をするから。竹之内さん、いらっしゃいます?」

竹之内「はい」

橋爪「そちらから、私が見えてますか?鏡か何に反射をしてたり」

竹之内「いえ、そのようなことは」

橋爪「事前に私の様子を説明されてますか?」

竹之内「いえ…そのようなことはなにも」

橋爪「(竹之内に)そうですか。(愛子に)ごめんなさいね、話の途中で」

愛子「いえ」

橋爪「今、ネクタイに似ているって言ったよね?」

愛子「はい」

橋爪「どうして、そう思ったのかな?」

愛子「そう見えたから…」

橋爪「見えたっていうのは?」

愛子「橋爪先生のことが」

橋爪「見える?ネクタイが?」

愛子「はい」

橋爪「他にも何か見えてる?」

愛子「うーん、橋爪先生、めがねをかけています」

橋爪「あ、ああ、かけてるね、他には、どうかあ」

愛子「おひげをはやしています、シャツの胸のポケットに染み?コーヒーでしょうか。あと茶色いズボンの右ポケットには緑色のハンカチが入ってます」

橋爪「ちょっとストップしようか」

愛子「あ、あの、あと一つ、お伝えしてもいいですか」

橋爪「ん、どうしたのかな?」

愛子「おなかの中に、良くないところがあるようです、向かって右側、おへその横の辺り。一度、お医者様に見てもらうと良いと思います」

橋爪「はい、ありがとう。今日のお話は、これで大丈夫だよ」

愛子「もう終わりですか?次の絵は…」

橋爪「うん、大丈夫。先生がお話を聞きたいときは、また声をかけるから、その時は、もう一度、竹之内さんと来てくれるかな」

愛子「はい、また呼んでください」

橋爪「竹之内さん、よろしいでしょうか?」

愛子「あ、えぇ、はい、教授さえ問題なければ…」

橋爪「はい、今日は大丈夫です」

竹之内「(愛子に)では、行きましょう」

愛子「(竹之内に)はい。(橋爪に)橋爪先生、ありがとうございました」

橋爪「はい、またね」

愛子「はい、それでは、失礼します」

竹之内と愛子が席を立ち、外へ出て行く。

(続く)