ニュースを読んで適当にシナリオを書き散らかすブログ

ニュースにザッと目を通して、20分くらいでガッと書き飛ばします。

<ボイスドラマ>世界霊性革命(ひかり-4)

○道路
交通量の多い道路沿いの歩道。
遠山が携帯に向かって話している。
遠山「えぇ、すみません、見失いました。途中までは追いかけたんですけど。はい、俺は無事です、体鍛えてますから、へへ。藤田さんの方こそ気をつけて。三村さんは足の靭帯?切れてはない、よかったです、はい、はい・・・」
ひかり「(遠山の電話を聞きながら)ごめんなさい」
遠山「気をつけてくださいよ、もう若くないんですから。仕切り直して、もう一度探しましょう、また居場所が分かれば連絡しますよ、ええ、じゃ、また」
遠山が電話を切る。
ひかり「無事でしたか、刑事さんたち」
遠山「3、4日で復帰できるって」
ひかり「良かった」
遠山「じゃ、もう少しだけ妄想につきあってやる、警察に差し出すのは、その後だ」
ひかり「信じてください」
遠山「まだ頭の中がゴチャゴチャしてる、もう1回説明してくれ、その超能力部隊の暴走っていう話」
ひかり「僕が勤務し始めた頃から?」
遠山「それが2年前か」
ひかり「ええ、その時点で部署には7、8名のスタッフがいました。大半は、あなたと同じリーディングと呼ばれる能力者」
遠山「勘のいい奴らのことだな」
ひかり「資料や遺留品で現在や過去を読み取る能力です。それを捜査に役立てる研究をしてました」
遠山「俺も、そこにスカウトされてりゃ、まだ刑事やってたのになぁ」
ひかり「当時は警察の外からのスカウトしてたみたいです、僕が最初の内部登用だと聞いてます」
遠山「生まれる時代を間違えたかな、俺」
ひかり「最初は、僕もリーディング能力の開発のために配属されました。ただ、途中から、開発の方向性が変わってきて」
遠山「念力の研究になった」
ひかり「ピーケーといわれる能力です」
遠山「暴走はそこから?」
ひかり「前からリーディングの能力者は気づいてたみたいですけど」
遠山「何に?」
ひかり「リーディングの対象が犯罪捜査と関係ないのでは、と」
遠山「どういうこと?」
ひかり「その頃、僕はまだ能力が弱くて察知できなかったんですが、正規の手続きを踏んでいなかったようです」
遠山「個人的な捜査?」
ひかり「ええ」
遠山「国本って上司の独断で?」
ひかり「独断かどうかまでは…」
遠山「とにかく国本って奴が怪しい指示を出してたわけだ」
ひかり「そうです」
遠山「その時の捜査はどうなった?」
ひかり「うまく進まなかったようです」
遠山「なぜ?」
ひかり「能力者たちが拒否したからです」
遠山「指示には従うだろ」
ひかり「不審だと感じれば、それ以上は無理です」
遠山「そんな言い訳、通るかよ」
ひかり「僕たちの力は心の力です。良心に背いてたり、自分勝手な欲望に力を使えば、心が乱れて、力を発揮できません」
遠山「そういうもんなんだ」
ひかり「そうです、あなたも自分が正しいと信じてるから能力を発揮しているはずです」
遠山「全然、自覚ないけどな。それで、仕事を拒否した奴ら、どうした?」
ひかり「いなくなりました」
遠山「辞めた?まさか、消された?」
ひかり「辞めていきました」
遠山「追われなかったのか、お前みたいに」
ひかり「力のある能力者が一斉に辞めましたから。追跡しようにも、できる能力者が育っていませんでした」
遠山「お前、捕まって監禁されてった言ったよな?」
ひかり「ええ」
遠山「今は能力者が育ってるってこと?」
ひかり「今、国本さんが開発している能力者は5名いますが、その中には僕の居場所を見つける力のある人はいません、正攻法の捜査で辿り着いたんだと思います」
遠山「その開発されてる奴らって力発揮できんの?悪事じゃ力が出ないんだろ、国本の指示に従えんのか」
ひかり「能力を持った学生をスカウトしています」
遠山「学生」
ひかり「良心を痛めるのは、モラルや常識を知っているからです。国本さんは、社会に出る前の学生を採用して、自分に都合の良いモラルや常識を信じ込ませています」
遠山「罪悪感を持たないように洗脳してるわけだ」
ひかり「その上でピーケー能力を開発するんです」
遠山「ピーケー?念力?捜査と関係ないよな、そんな力?」
ひかり「僕もそう思います」
遠山「なにしようって魂胆?」
ひかり「わかりません」
遠山「それは、いつから」
ひかり「ピーケーの能力者は、僕が異動になった時には既に1名いたんですが、でも」
遠山「でも?」
ひかり「スタッフが一斉に辞める少し前にいなくなりました。それからです、国本さんが、ピーケー能力の開発を進めるようになったのは」
遠山「その辺りで、なんかあったな」
ひかり「そうですね」
遠山「あとさ、そもそもの質問だけど、その国本っていうのも力持ってんの?」
ひかり「前はあったのかもしれませんが、今の国本さんに力は感じません」
遠山「欲に溺れて失った?」
ひかり「でしょうね、心を乱してしまったんだと思います」
遠山「一旦なくすと、戻んないの?力って?」
ひかり「僕には、わかりません。僕も、突然、力がなくなるかもしれませんし」
遠山「ふ~ん、面白い話だわ」
歩いている。
遠山「お前、この後、どうすんの?」
ひかり「あのアパートには戻れませんよね」
遠山「一晩だけなら泊めてやるよ、俺んとこで良ければ」
ひかり「警察へは?」
遠山「明日の朝でいいよ。もう、夜も遅いし」
ひかり「ありがとうございます」
遠山「ムリヤリ連行して、足のスジを切られるのも嫌だしな」
ひかり「そんなことしません」
遠山「まぁ、前から、自分でさ、何で犯人の居場所が頭に浮かぶのか不思議だってたんだ、少しは気休めになったよ、話を聞いて」
ひかり「信じてくれるんですね」
遠山「全部は信じちゃいないけど、あんなの見せられたら、世の中には説明のつかない力があるってことはわかるよ」
歩いてる。
ひかり「あのぉ、ご存知ですよね、僕のこと」
遠山「なに?目からビームが出るんだったら泊めてやんねぇよ、気持ち悪いから」
ひかり「いえ、あのぉ、僕…、女なんですけど」
遠山「ああ、資料で読んだよ」
ひかり「だから、あの、寝るときは別々に」
遠山「大丈夫、俺、水商売のケバい姉ちゃんしか興味ねぇから」
ひかり「男の人の部屋に寝泊りするのは初めてで…」
遠山「心配すんな、お前のピーケーじゃ、俺のチンポはピクリともしねぇよ」
(続く)