ニュースを読んで適当にシナリオを書き散らかすブログ

ニュースにザッと目を通して、20分くらいでガッと書き飛ばします。

<ボイスドラマ>世界霊性革命(ひかり-1)

○マンション一室
健二と真吾がひかりを監禁している。真吾の手には銃。
ひかりは手足を縛られ、空ろな目をしている、糞尿も垂れ流しである。
健二は鼻にティッシュを詰め、真吾は口元にタオルを巻き、糞尿臭を防いでる。
健二「マジくせぇ、交代まであと何分?」
真吾「あと1時間で昼飯交代です」
健二「こんなクソ野郎といた後に、メシなんか食えるかよ」
真吾「俺がコイツだったら、舌噛み切って死んでますよ。薬打たれて3日も4日も放置プレーで」
健二「見た目はジャニーズ、クソにまみれたスーツ姿だもんな」
真吾「本人はクスリでぶっ飛んでだろうけど」
健二「見張る方は、たまったもんじゃねぇよな」
真吾が銃をコツコツ机に当てる。
真吾「こんな奴の見張りに銃いりますかね?」
健二「知らねぇけど、港さんが持てっていうからさ」
ドアが開き、港が入ってくる。
港「クサッ。呼んだ?今、おれの名前聞こえたけど」
健二「港さん、お疲れ様です!なんでもありません」
港「あぁクセェ、ここはしばらく臭くて使えねぇな。真吾、お前に貸してやるよ」
真吾「はい」
港「月30万」
真吾「うっす」
港「なにがうっすだよ。見張りはどうよ?美少年の具合は?」
健二「逃げようもないです」
港「だよな」
健二「ここまで厳重に監禁するって、何者ですか、コイツ」
港「俺も知らんよ、頼まれたんだ、一週間くらい、クスリ漬けにして預かってくれれば金ははずむって。こりゃ、報酬はずんでもらわないと割に合わねぇな」
ひかり「く、く、くにもと・・・」
真吾「なんか言ってますよ、コイツ」
健二「うなされてんだろ」
ひかり「国本さん?国本さんの依頼ですか?」
真吾「コイツ、喋ってます、聞いてますよ」
港「クスリちゃんと打ってんのか、効いてねぇんじゃねぇのか」
真吾「言われた通り打ちました」
ひかり「国本さんは、ここに」
健二「港さん、これ港さんに話しかけてんじゃないですか」
港「国本って誰だ、知らんぞ、そんな奴」
ひかり「依頼人」
港「依頼人?国本っていうのか、あいつ」
ひかり「教えてください。来るんですか、国本さんは?」
港「知らねぇけど、引き取る奴を寄こすってよ」
ひかり「外してください、お願いします」
ひかりが手足でコンコンと床を叩く。
港「黙らせろ、残りのクスリ全部打っとけ」
健二「はい」
ひかりがバタつく。
真吾「えーっと、注射は、どこに」
健二「まず先に、蹴とばして黙らせろ」
真吾「そっち回っていいですか、こっちからだとクソつくんで」
港「あ、待った」
健二「え?」
港「黙らせる前にコイツが何をしたか聞いとこう。これだけ警戒されてるんだ、次のシノギに使えるネタを持ってるかもしれん」
健二「ああ、そうですね、さすが港さん。真吾、こいつの頭、港さんに向けて」
真吾「はい」
真吾がひかりの体を引きずる。
港がひかりの顔に顔を近づける。
港「お前、何者だ?何した奴だ?女みてえな顔して」
ひかり「無駄な殺しはしたくないんです」
港「あぁ?なんだって」
ひかり「人を傷つけたくはありません」
港「なに抜かしてんの?」
ひかり「逃がしてもらえなければ、あなた達は」
港「身の程考えてモノは言えよ」
ひかり「力を出させないで下さい、お願いです、クスリのせいで加減がわかりません」
港「力を出すも何も、手も足も出ねぇだろうがよ、おい」
ひかり「ごめんなさい」
港「ふざけんなよ」
真吾が倒れる。
健二「どうした?おい、真吾?」
健二が真吾を抱きかかえるが、動かない。
健二が真吾を起こそうと呼びかけたり体を動かしている。
ひかり「ごめんなさい」
港「健二、静かにしろ」
ひかり「放してもらえますか、でないと」
港「でないと、なんだ」
ひかり「あなたも、あの人みたいに」
港「なに言ってんだ、クソが」
ひかりの髪の毛を掴んで床に叩き付ける。
港「おい、健二、チャカよこせ」
港が銃を受け取り、ひかりに突きつける。
港「さっさと話せ、何で狙われてる、ふざけんなよ、引き金引くぞ」
ひかり「僕を生かして渡すのが依頼なんでしょう?」
港「暴れたから殺ったって言えば済む話だろうが」
ひかり「超能力」
港「はぁ?」
ひかり「エスパー」
港「なに?」
ひかり「僕は超能力者なんです」
港「てめぇ、ふざけやがって」
ひかり「見てください」
港「じゃ、タマ止めてみろよ、さーん」
ひかり「前髪を見てください」
港「にー」
ひかり「今、この部屋に風は来てませんよね」
港「いー、ん?」
ひかり「動いてませんか?」
港「なんだ、このウネウネしてんのは」
ひかり「あなたの頭のてっぺんも、感じませんか?」
港「ん・・・おい、健二、来てくれ」
健二は真吾を介抱を続けている。
健二「港さん、真吾が」
港「いいから来いよ、こっちに」
健二が港の方へ来る。
健二「なんですか」
港「頭のてっぺん見てくれ」
健二「あ、は、はい、あれ?」
港「どうなってる」
健二「髪がグニャグニャ動いてます」
港「どうやんだ、これ?」
ひかり「僕はモノを動かすことができるんです」
港「バカ、ならタマ止めてみろよ、さん、に」
ひかり「髪の毛を動かすのが精一杯です。弾を止める力があれば、今頃、縄を外してます」
港「なら、恐がる必要はねぇな」
ひかり「放してもらえませんか」
港が拳銃を健二に手渡す。
港「おい健二、こいつ気味悪いわ、あと任せた。バンバン注射打って、眠らせとけ。ガラ渡して、チャチャッと金もらおうぜ」
健二「港さん、その前に真吾、病院に連れてってもいいですか」
ひかり「毛細血管って知ってますよね?」
港「あん?」
ひかり「人間の脳は髪の毛よりも細い血管で出来ています」
港「それがどうした?」
ひかり「髪の毛が動かせるなら、毛細血管も」
健二「ううん」
健二が倒れる。
ひかり「ごめんなさい」
港「おい、健二」
港が健二をゆする。
ひかり「お願いします、縄を外してください」
港がつばを飲み込む。
ひかり「念の力は拳銃の弾よりも早いんです」
港「脅すのか、俺を」
ひかり「ごめんなさい」
港「おい、へんなマネするなよ」
ひかり「まず、その銃をどけてもらえますか?」
港「嫌だっていえば」
ひかり「今、少し息苦しくなってせんか」
港「やめろ、わかった、やめてくれ」
港が銃を置き、ひかりを縛っていた縄を解く。
ひかり「あの注射は国本さんから?」
港「なぜわかった」
ひかり「一般には出回っていないクスリです」
港「そう、監禁してる間に打ってくれって言われた」
ひかり「やはり」
港「あの女、ヤバイ奴なのか」
ひかり「女?」
港「ああ、国本って、女だろ?」
ひかり「動かないでもらえますか」
港「変なマネ、やめろよ」
ひかり「じっとして」
ひかりが深呼吸する。
港「やめろ、やめてくれ」
ひかりが息をつく。
ひかり「ダメだ、まだクスリが残ってる」
港「何をした?」
ひかり「あなたの記憶を覗こうとしたんですけど、頭がボーッとして、うまくできない」
港「記憶を覗く?」
ひかり「心を読むんです。あまり得意じゃない能力だけど」
ひかりの縄がほどける。
港「ほらよ、ハズしたぜ。超能力にも得意があんのか?」
ひかり「あります、僕の場合は、人の心よりも、モノに働きかける能力を専門に鍛えられました」
港「鍛えられた?」
ひかり「そういう場所があって」
港「映画みたいな話だな」
ひかり「そうですね。でも映画とは違って、地味なところです」
港「にしても、すげぇな、あんたの力はよ」
ひかり「力があっても、いいことは何もありませんよ」
港「そんなこたぁねぇだろ、最高じゃねぇの」
ひかり「こんな力があるおかげで」
港「どうした?」
ひかり「ごめんなさい、あなたを始末しなくてはいけないんです」
港「ぐぐぐ」
港が倒れて、バタバタする。
ひかりが泣いている。
ひかり「秘密は残せないんです」
港のバタバタが止まる。
ひかり「本当にごめんなさい」
ひかりが嗚咽する。
(続く)