ニュースを読んで適当にシナリオを書き散らかすブログ

ニュースにザッと目を通して、20分くらいでガッと書き飛ばします。

<ボイスドラマ>世界霊性革命(みこと-4)

○街中
大勢の人が歩いている音。
係員が大声で叫んでいる。
係員「おはようございま~す!本日、いのちのみち教団、花形教祖の大予言ライブにお越しの信者の皆さんは、立ち止まらずにドームへお進みください、」(「こちらです」などの呼び込み続く)
みこと「みーつけた」
高橋「あ、いつかの」
みこと「最近、来てないよね、集会」
高橋「忙しくてね」
みこと「今日は会えると思ってたけど」
高橋「変な子と会っちゃったなぁ」
みこと「ふふふ。ね、ちょっと止まって」
高橋「え」
みこと「しゃがんで」
高橋「ん」
高橋が立ち止まってしゃがむ。
みことが高橋の耳元でささやく。
みこと「やっぱ信じてないよね」
高橋が立ち上がる。
高橋「そんなこと言うんじゃないよ」
みこと「ね、いいこと教えてあげよっか?」
高橋「なに?」
みこと「今日の予言は当たる予言」
高橋「どんな予言か知ってるみたいじゃん」
みこと「しゃがんで」
高橋「ん」
高橋とみことがしゃがみ、みことが高橋の耳元でささやく。
みこと「競馬の順番をバッチリ当てちゃうの、あとブラジルで起きる大地震」
高橋「え?」
みこと「凄いでしょ」
高橋「なんで知ってるの?」
みこと「知りたい?」
高橋「ああ」
みこと「なら、終わった後でマックおごって」
みことが立ち上がって歩きだそうとする。
高橋「ちょっと待てよ」
高橋が立ち上がる。
みこと「ん?」
高橋「どこに行きゃ会えんの?」
みこと「電話してよ」
高橋「電話?」
みこと「まだ頭の中に残ってるでしょ、あのときの数字」
高橋「ん?」
みこと「なんでかけて来ないのかな、ずっと待ってるのに」
高橋「冗談、よしなって」
みこと「私の言った通りになったら電話して。もっと色々教えてあげる」
高橋「はいはい」
みこと「私のこと、知りたいの、知りたくないの」
高橋「ねぇ、君、何者?」
みこと「ほら、知りたいんでしょ、なら電話」
高橋「ホントに言った通りなれば、かけてみるよ」
みこと「うむ、よかろう」
高橋「かけたところで、(声マネ)おかけになった電話番号は…だろうけど」
みこと「マックで何たべよっかなぁ」
 
○マクドナルド店内
店員の「ポテトはいかがでしょうか」などの声が奥から聞こえる。
高橋がハンバーガーの乗ったトレイをみことの座るテーブルまで持ってくる。
みこと「きた」
高橋「はい、どうぞ」
みことがハンバーガーを手に取って食べ始める。
高橋「これ一人で食べるの?」
みこと「デブるかな?」
高橋「食べ終わったら、話、聞かせてよ」
みこと「食べながらでいいよ」
少しの間。
高橋「どういうトリック?」
みこと「どれのこと?」
高橋「まず電話のこと。どうやって携帯の番号を思い浮かばせるわけ?」
みこと「念じるの」
高橋「なにを?」
みこと「思ってることを」
高橋「誰に」
みこと「相手に、そしてエイッて相手に送るの。そしたら届くの、なぜかはわかんない」
高橋「ありえない、ありえない」
みこと「でも、電話かかったじゃん。だから今、ここにいるんでしょ」
高橋「手品にそういうのあるよね、同じトリック?」
みこと「わたしのことを信じなさいって。あ、シェイク取って」
高橋がシェイクを渡し、みことが飲む。
高橋「予言は、だいたい想像つくんだけど、電話番号はなぁ」
みこと「へぇ、予言はどう思ってんの?言ってみ」
高橋「俺の推理だと、君、教団幹部の娘でしょ、だから、今日のスピーチの台本も前もって見ることができた、当たり?」
みこと「ちょとだけ当たり」
高橋「なに、ちょっとだけって」
みこと「親が幹部ってのは当たってるけど、あとハズレ」
高橋「台本は見てないけど、親の心を読んだのよ、とか、ふざけるのは無しで」
みこと「それも、はずれー」
みことがハンバーガーをほおばる。
みこと「教えてあげよっか(シェイクを飲む)あの予言、私の予言なの」
高橋「おっ、おおきくでたねー、今度は」
みこと「前も言ったっけ、教祖は、もう見えてないって」
高橋「ああ」
みこと「まだ少し見えてた頃、ウチの親があそこに通い始めたの」
高橋「2、3年前?」
みこと「うん。その時、教祖もぎりぎりチカラ残ってたからさ、親と一緒に来てた私の力に気づいたみたいで」
高橋「君の物語の中じゃ見える人同士なら分かり合えるって設定なんだ」
みこと「で、教祖が見えなくなった後、手伝ってくれって頼まれたのね」
高橋「何を?」
みこと「予言作り」
高橋「予言作り?」
みこと「阿蘇山とか、沖縄の飛行機事故とか、あとなんだっけかな、いくつか当ててあげたの」
高橋「はぁぁ(ため息)」
みこと「ちょっとぉ、何考えてるか、わかるんだから。真剣に聞いて」
高橋「はいはい、妄想続けて」
みこと「一つ当てたらさ、じゃ次は?次は?ってしつこく聞かれてウザくなったから、もう見えなくなったって辞めちゃったの」
高橋「予言がないと困るでしょ、教祖は」
みこと「だから、たまにだけど、ウチの親の頭に送ってあげるの」
高橋「気味悪がられるだろ」
みこと「大丈夫、ウチの親、昔っから霊とか神様にハマッてる人だから、お告げが来たって喜んでる、予言が当たれば教団で偉くなれるしね。ホントは全然見えてなんだけど」
高橋「その予言を、さらに教祖がパクる」
みこと「そう」
高橋「妄想炸裂だね」
みこと「全部、ホントなの!信じてくんないの?」
高橋「本部でも教祖の予言見たけど、かなり適当だったよ」
みこと「だから、あれは、わたしじゃないの。わたしの予言はウチの親が困った時だけ」
高橋「困る?」
みこと「あんまりハズし続けると教祖から怒られちゃうからさぁ、かわいそうでしょ」
高橋「天気予報じゃないんだから。君、カウンセリングとか行ってる?」
みこと「まだ、そんなこという」
高橋「統合失調症っていうのかな、そういうの」
みこと「どうすれば信じてくれるの?」
高橋「いくらなんでも根拠がないとさぁ」
みこと「根拠って何?」
高橋「科学的な説明とか、わかる科学的って?」
みこと「どういうこと?」
高橋「データで裏付けされた客観的な理論、「見える」って言われても、君にしか分からないんだから、それは科学的じゃないよね」
みこと「そういうの意味あんの?」
高橋「大人になれば、わかるよ。食べ終わった?出よっか」
みこと「ねぇ、信じて欲しいの」
高橋「だからさぁ」
みこと「わたしを信じる?科学を信じる?」
高橋「科学」
みこと「なら私たちのことは科学で説明できるの?」
高橋「私たちのこと?」
みこと「なぜ出会って、なぜ今、ここにいるのか、科学的に説明してみせてよ?」
高橋「そんなことに科学的な理由なんてないだろ」
みこと「だったら科学に意味なんてないじゃない」
高橋「今、反抗期?」
みことが深呼吸を始める。
高橋「どうした?なにしてる?」
みこと「自分が感じたことを信じて」
みことが深呼吸を続ける。
高橋「なんだ?おい」
みことが深呼吸を続ける。
高橋の息が荒くなる。
みことが「ふぅー」と大きく息を吐く。
高橋の荒い息が続く。
みこと「今、感じてること、科学で説明してみせてよ」
高橋「ふぅ」(強い溜息)
みこと「恐がらないで、信じて、一緒に声に出してみよ、答え合わせしよ」
高橋「なにを?」
みこと「今、頭に浮かんだでしょ、わたしが送った言葉」
高橋「バカな」
みこと「恐いんでしょ?」
高橋「なにが?」
みこと「わたしを信じるのが」
高橋「まさか」
みこと「じゃ、セーノのでいくよ」
高橋「待てよ、待って。もし答え合わせが間違ってれば、もう俺に絡まないって約束する?」
みこと「「そんなことさせない」って、そう言ってる」
高橋「誰が」
みこと「あなたのお母さん」
高橋「おふくろが?」
みこと「セーノ」
高橋・みこと「二人の心が一つになれば、世界はきっと変えられる」
みこと「これが、私たちが出会った理由」
 
(続く)