ニュースを読んで適当にシナリオを書き散らかすブログ

ニュースにザッと目を通して、20分くらいでガッと書き飛ばします。

<ボイスドラマ>世界霊性革命(みこと-3)

○警視庁・会議室
高橋が数名のスタッフを前に捜査内容を説明をしている。
高橋「本部の施設内では平日昼間の集会に、平均300名から400名、土日祝日では昼夜合計で1,000名近くの信者を集めています」
幹部1「平日の昼間で300は凄いな。老人の信者は少ないんだろ」
皆が資料に目を通している。
高橋「信者の多くは20代から40代の社会人、学生。休みをとって集まっているようです」
幹部2「子供の比率が高いのは、家族連れ?」
高橋「そうです、小学生、中学生も普通に見かけますね」
中川「教団の推定収入、年間20から25億というのは」
高橋「あくまでも推定ですが、集会の参加費が3000円、月に13000人以上として年間4億5000万円前後。一番大きな収入は、本です。年に30冊程出版され、各3万部は売れているそうです、教団は信者に直販しますから、それだけ15億円の売上げになります。あとは、年4回の大規模イベントで約2億円、他にもありますが、資料に目を通していただいて、外から見える収入だけで20から25億と推測します。実際には、これ以外に信者個人の寄付金が加わりますが、詳細はつかめていません」
幹部1「典型的な宗教ビジネスだな」
幹部3「出家信者は?」
中川「出家はさせてないだろ」
高橋「ええ、本部の事務員はいますが、出家制度ではないようです」
中川「こういうところは、信者の収入を搾り取るビジネスだ。信者には外の世界で仕事をしてもらわないと困る」
高橋「ここもそうだと思います」
中川「教義はどうだね?テロに繋がるような過激な思想は?」
高橋「その心配はないと思います。信者の選民意識を煽ってはいますが、オカルトのたぐいで片付けられる教義です。事件になるような反社会的な活動には結びつかないと思います」
幹部1「金儲けの道具なんだな」
幹部2「教祖の予言、次は何だって?」
高橋「見た限り、どうにでもとれる、あいまいなことがほとんどでした」
幹部3「ここのウリは教祖が予言をバシッと当てるってトコだろ?それで他の新興宗教の信者を奪ってると聞いてるが」
幹部2「この間の地震も当たったと騒いでたし、前は飛行機事故、殺人事件の犯人、あとは政権交代だったかな。知り合いの編集部にも、これを記事にしてくれって売り込みが来たって」
幹部1「ネタを拾うために、信者になった物書きもいるらしいよ」
高橋「しかし、わたしが潜入した時には、目ぼしい予言は」
中川「次の予言を仕込んでる時期だったのかな」
高橋「今後、エスを確保する必要があれば、候補に接触しますが、いかがでしょうか?」
中川「報告を聞いた印象だと、危険性は低い、そこまでの必要はないよ」
幹部1「私もそう思います」
幹部2「同感です」
高橋「では、このあと教団の監視は、どうしましょうか?」
中川「大きな集会だけを監視、それで充分だ」
高橋「了解しました」
 
○警察庁・駐車場(外)
夜、人々や車の行き交っている。
中川「待たせた、会議が長引いてね」
高橋「いえ、こちらこそすみません、外に来ていただいて」
中川「こんなところでどうした?特別な話かね?」
高橋「ええ、先ほどの報告に関して」
中川「ひかりのみちの件?」
高橋「はい、あの席ではお伝えしづらいことが」
中川「なんだ?」
高橋「自分は既に教団にマークされています」
中川「君が?どうして?」
高橋「調べられています、かなり綿密な調査です」
中川「本当か?…なぜ、それがわかった?」
高橋「会いました」
中川「誰に?」
高橋「施設の中で、私の情報を知っている者に」
中川「接触してきたのか?」
高橋「ええ、向こうから、私の調査内容を細かく」
中川「ん~む」
高橋「どうしました」
中川「おかしな話だな」
高橋「その人物に会ったのは本当です」
中川「君を洗脳するのが目的なら、そんな、あからさまなに接触はしてこないだろ」
高橋「あの、実は、接触してきたのは女の子でした」
中川「女の子?」
高橋「中学生くらいの女の子です、おそらく私に関する資料をどこかで目にしていたのだと思います、それで」
中川「そんなこと、ありえるのか」
高橋「しかし、それ以外には」
中川「仮にそうだとして、なぜ、君が潜入だと気づかれた」
高橋「私の行動で面が割れたとは思えません」
中川「とすると?」
高橋「警察内部から情報が漏れているのでは」
中川「しかし君の潜入の件は、報告会のメンバー以外は知らないはずだ」
高橋「情報を漏らす人はいないと思います」
中川「そうだな」
高橋「だとすると、あの部屋が盗聴されているのでは」
中川「信じられん」
間が空く。
高橋「実は、教団が調べている私の情報についても信じられないことが」
中川「ん?」
高橋「私以外は知りようのない、子供の頃のプライベートなことまで」
中川「そんなこと、どうやって?」
高橋「分かりません、父にも聞いてみましたが、不審な人物からの接触はないと」
中川「もし身の危険を感じるようなら、降りてもらっても構わんよ」
高橋「いえ、続けさせてください。向こうが動いてることは分かったんです、作戦の立てようはあります」
中川「大丈夫か」
高橋「大丈夫です」
少し間が空く。
中川「くれぐれも気をつけてくれ、私も内部のスパイには気をつける」
高橋「お時間いただいて、すみませんでした」
中川「無理はするなよ、なにかあったらすぐに連絡してくれ」
高橋「はい、ありがとうございます。
 
(続く)