ニュースを読んで適当にシナリオを書き散らかすブログ

ニュースにザッと目を通して、20分くらいでガッと書き飛ばします。

謎の生物・マピチュー

○総合病院/外観(昼)
入院棟のある大きな病院。

○同/屋上(昼)
日下公一(32歳)が車椅子に乗った日下亜紀(31歳)を押しながら歩いている。
公一が足を止める。
亜紀が遠くを見ている。
亜紀が公一を見る。
亜紀「ねぇ」
公一が亜紀を見る。
亜紀「マピチューって知ってる?」
公一「マピチュー?」
亜紀「コアラみたいな」
公一「コアラ?動物?」
亜紀「そう、最近、ペットで人気なんだって」
公一「初めて聞いたよ。どこの国の生き物?」
亜紀「さぁ・・・、病院じゃネット禁止だし、今度、調べて教えてよ」
公一「マピチューね・・・どうしたいの?」
亜紀「戻ったら飼いたいなぁって」
公一「そう」
亜紀「いいでしょ、飼っても?」
公一「ああ、いいよ」
亜紀「よし」

○同/廊下(昼)
病室外の廊下。
公一と亜紀の母親・小泉弘子(60歳)が小声で話をしている。
公一「すみません」
弘子「公一さんだって無理しないで、忙しいんでしょ、仕事。あの子、公一さんが帰った後、いつも、公一さんのこと心配してるから」
公一「すみません」
弘子「気にしないで」
公一「出張から戻ったら、代わりますから」
弘子「任せて」
公一が弘子に頭を下げて去る。

○イメージカット
公一が忙しく仕事(営業先へ挨拶、会議等)をしている様子。

○列車・車内(夜)
走行中の特急列車。
公一が座席に座りパソコンでネット検索している。
検索ワードに「マピチュー、ペット」、「マピチュー、動物」を入力しているが検索結果はヒットしない。

○イメージカット
公一が忙しく仕事(営業先へ挨拶、会議等)をしている様子。

○ペットショップ店内(昼)
公一が店員に話しかけているが、店員は首を横に振っている。

○病院/病室(昼)
亜紀が看護士から投剤を受けている。弘子が付き添っている。

○同/廊下(夕方)
公一が歩いてくる。

○同/病室(夕方)
公一が入ってくる。
公一が弘子に会釈をする。
弘子が、そっと立ち上がる。
弘子が小声で公一に話しかける。
弘子「昼に薬を入れたから、もうじき目が覚める頃」
公一「あとは自分が付き添いますから、大丈夫ですよ」
弘子が時計を見る。
弘子「そう、お願いしても良いかしら」
公一「はい」
弘子が公一に頭を下げながら、病室から出ていく。
公一がベッド脇に座る。
公一が亜紀の顔を見ている。
亜紀の目がゆっくりと開く。
亜紀「公ちゃん?」
公一「お母さんは、先に帰ってもらったよ」
亜紀「出張は?」
公一「早めに終わったから」
亜紀「大丈夫?」
公一「大丈夫、無事、片づいたから」
亜紀が微笑む。
公一「人の心配する前に、自分の体、治さないと」
亜紀「マピチューと遊べないもんね」
公一「あぁ、マピチューな」
亜紀「調べた?」
公一「ああ」
亜紀「可愛いでしょ」
公一「うん」
亜紀が公一の顔を見た後、目をそらして窓の外を見る。
窓の外は夕焼け空。
亜紀「きれい」
公一も外を見る。
公一「夕焼けか」
亜紀が公一を見る。
亜紀「ねぇ」
公一が亜紀を見る。
亜紀「退院したら、阿武川にキャンプに行こうよ」
公一「昔、行ったな」
亜紀「夕焼けの下で、バーベキューするの」
公一「ああ」
亜紀「いつごろ退院できるかなぁ、お医者さんはなんて?」
公一「ん?」
亜紀「2、3ヶ月入院すれば元気になるって?」
公一「ああ、そう言ってた」
亜紀が公一の顔を見る。
亜紀が微笑む。
亜紀「ありがとう」
公一「え?」
亜紀「マピチューの話をする時と同じ顔」
公一「は?」
亜紀「ありがとう」